北九州マラソン2020参戦記|サブ3.5を目指してあの3秒が忘れられない

人生初マラソンから4年、ようやく訪れた「再挑戦」

人生初マラソンは、2016年の北九州マラソンでした。

はじめて42.195kmというとんでもない距離に挑んだあの日のことは、今でも鮮明に覚えています。

準備不足、経験不足、何もかも足りなかった。ゴールしたときの達成感よりも、「もっとできたはずだ」という悔しさの方が胸に残っていました。

それから数年、再び北九州マラソンにエントリーし続けたものの、落選の連続。

悔しいような、ホッとするような、なんとも言えない複雑な気持ちを毎年味わっていました。

落選している間は「気が向いたら走る」程度で、本気のトレーニングとは程遠い日々を過ごしていました。

そして2020年、ついに当選通知が届きました。

正直に言います。最初に湧いてきた感情は、やる気よりも不安の方が大きかったです。4年ぶりのフルマラソン。ちゃんと走れるのか。42kmという距離と、また向き合わないといけない。

それでも、「どうせ出るなら目標は高く」と自分に言い聞かせ、サブ3.5(3時間30分切り) を狙う決意をしました。

当選から本番まで|月間200kmで積み上げた自信

当選が決まるまでは、週に数回の軽いジョグ程度でした。それが当選を機に、がらりと変わりました。

少しずつ走る距離を伸ばしながら、月間200kmを安定して踏めるようになっていきました。練習メニューはシンプルで、月に2回ほどの30kmロングジョグ、週1回のインターバルトレーニング、そして10kmのペース走を組み合わせました。

それなりに練習はこなせていた、という感覚はありました。

ただ、一つだけ心に引っかかっていたことがあります。練習での最長距離が35km止まりだったこと。残り7kmをどう乗り越えるか、レース本番まで自信を持てずにいました。それでもレースペースに対する余裕度はあったし、「なんとかなる」と自分を奮い立たせてスタートラインに立ちました。

スタート前|装備と立ち位置

Screenshot
引用元:北九州マラソン公式HP

当日の装備はこれに決めました。

• 上:半袖Tシャツ1枚

• 下:ハーフタイツ

• 防寒:アームウォーマー

• 補給:ジェル4本(ボトルは持たない)

• その他:ランニングキャップ、大会配布のビニールポンチョ

初マラソンのとき、着込みすぎて後半に暑さで消耗しました。その反省を活かした装備です。寒さが不安でもありましたが、走り始めれば体は温まります。アームウォーマーで細かく調整できるようにしました。

引用元:北九州マラソン公式サイト

スタートブロックはCブロック。整列が早かったおかげで、Cブロックの先頭付近に並ぶことができました。

同じ列にはサブ4のペーサーが立っていました。目標のサブ3.5ペーサーはBブロックの先頭です。

スタート直後に無理に追いかけず、「最後の方で追いつければ十分」と言い聞かせながら号砲を待ちました。

0〜5km|混雑の洗礼と焦り

スタートの号砲が鳴り、体が前に動き始めます。

しかし現実はそう甘くありませんでした。スタートラインを越えるまでに2分34秒もかかってしまいました。

サブ3.5をグロスで達成するには、1kmあたり4分58秒ペースで走り続けなければなりません。その計算が頭にある中で、2分以上のロスはかなり痛い。しかもCブロックのスタート直後は人で溢れかえっており、自分のペースで走れる状況ではありませんでした。

前に進もうとするたびにランナーの波に阻まれ、少しずつ隙間を縫いながら走ります。消耗させたくない序盤なのに、無駄な動きで体力を使ってしまっていました。

5kmのラップは26分。グロスに換算すると28分34秒。

「まずい、遅れている」という焦りが、頭の中をよぎりました。

今振り返れば、後ろのブロックスタートで混雑するのは最初から分かっていたこと。焦らずウォーミングアップのつもりで流せばよかったです。これは大きな反省点でした。

5〜10km|下りでペースアップ、身体は軽い

北九州マラソンの前半は、スタートから6kmほど緩やかな登りが続きます。その後、下りに入ります。

下り区間に差し掛かったとき、自然とペースが上がりました。焦りもあったかもしれません。意図的にペースアップしてしまったのは、今思えば失敗でした。 ただ、その時の体の感覚としては悪くありませんでした。脚は軽く、呼吸も楽で、まったくキツさを感じない。身体が「行けるぞ」と言っていました。

5〜10kmは23分37秒。前のラップとは打って変わって快調なペースです。

その後北九州マラソン最大の登り場面、枝光から戸畑駅方面へ向かう区間に入ります。

勾配のきつい坂でしたが、アドレナリンと沿道の応援に背中を押されて、驚くほど軽く登れました。「無理はしない。焦らない」と自分に言い聞かせながら、この辺りから少しずつ冷静さを取り戻せていました。

同じペース帯のランナーが多く、自然と集団が形成されます。その流れに乗りながら淡々と進んでいきました。

10〜15kmは23分56秒。

15〜20km|小倉駅へ、余裕を楽しむ

小倉駅に向かうこの区間は、「とにかく楽に」を意識しました。

沿道にはたくさんの応援が並んでいて、ハイタッチしながら、声援に応えながら、マラソンを純粋に楽しんでいました。走ることの喜びを体で感じていたような気がします。

この記事を書きながら改めて思います。今の自分には、このときのような「楽しむ気持ち」が何より大切です。 タイムや順位に意識が向きすぎると、走ることの純粋な喜びを見失ってしまいます。

気づけば小倉駅まで戻ってきました。15〜20kmは23分52秒。ハーフ通過は1時間45分07秒。

サブ3.5達成には、後半をほぼ同じペースで走り続けなければなりません。「ギリギリだな」と思いつつも、体にはまだ余裕がありました。冷静に、淡々と。

20〜25km|門司港へ、3.5狙い集団に合流

この辺りで、サブ3.5を狙うランナーたちの集団が自然と出来上がっていました。迷わず混ぜてもらいながら、門司港へ向けて進んでいきます。

ただ、一つやらかしてしまいました。

門司駅付近の給水所で、ポジション取りを失敗してしまったのです。列の後方で給水に入ろうとしたとき、後ろを走っていたランナーと接触しそうになってしまいました。マラソン経験がまだ浅く、給水の流れを読みきれていませんでした。謝ることもできないまま通り過ぎてしまい、今でも申し訳ない気持ちが残っています。給水所のマナーは、レース前にきちんと意識しておくべきだと学びました。

25〜30km|最初の異変、忍び寄る疲労

門司港を折り返し、帰路へ。

「無理していないつもり」でしたが、数字は正直でした。25〜30kmのラップは24分23秒。 

少しずつペースが落ち始めています。体感でも、脚の疲労感が出てきていました。ペースは維持しているようでいて、実際には少しずつ削られていました。

「30kmからが本当の勝負だ」と自分に言い聞かせました。ここで踏ん張れるかどうかで、結果が決まります。気持ちを奮い立たせ、何とかペースをキープしようとしました。

30〜35km|脚が言うことを聞かない

30〜35kmは25分17秒。 ついにキロ5分を超えだしました。

頑張っているつもりなのに、脚が前に出ない。疲労で筋肉が硬直し始め、いくら力を入れても思うようにスピードが出ません。「練習でやってきたこと以上のことは、本番でもできない」という現実を、身体で痛いほど感じた瞬間でした。

折り返しのコースで視界に入ったのは、サブ3.5ペーサーの背中。すでに遥か前方にいました。

35〜40km|心が折れる

35〜40kmは27分11秒。 ガクッとペースが落ちました。

走っては止まり、また走り出す。その繰り返しです。脚は限界を超え、体が「もう終わりにしてくれ」と叫んでいるようでした。気持ちも完全に折れていました。サブ3.5は無理だと、この時点で悟りました。

それでも、「自己ベストは大幅に更新できる」と気持ちを切り替えました。動かない脚を一歩ずつ動かし、前に進み続けました。

ゴール|あの3秒が忘れられない

やっとの思いでゴールラインを踏みました。

グロスタイム:3時間32分37秒

ネットタイム:3時間30分03秒

ネットで3秒。たった3秒、サブ3.5に届きませんでした。

着替えながら、頭の中でレースを何度も再生しました。「最初の混雑がなければ」「あのペースアップをしなければ」「給水で無駄な動きがなければ」。後悔が次から次へと押し寄せてきました。

家に帰ってからも、悔しくて悔しくてたまりませんでした。

仕事以外でこれほど悔しい思いをしたのは、人生で初めてでした。 同時に、ここまで本気になれる趣味に出会えたことが、純粋に嬉しくもありました。

マラソンにハマった理由

数日後、悔しさは少しずつ「次こそは」という炎に変わっていきました。

全力でやってきたことが、そのまま結果に出る。言い訳が通用しない。良くも悪くも、自分次第で結果が決まる。だからマラソンは面白いんです。

この気持ちは、今も変わらずに続いています。

まとめ

Screenshot

北九州マラソン2020の結果は、ネット3時間30分03秒。あと3秒でサブ3.5でした。

この3秒は今でも心に刺さっています。でも同時に、この3秒があったからこそ、マラソンに本気でハマれたとも思っています。

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