【マラソン】中強度走こそ「線」で強くなる鍵。設定ペースと継続のコツ
フルマラソンのレベルアップにおいて「中強度走」が非常に優秀な練習であることは、多くのランナーが耳にしているはずです。疲労を過度に溜めず、かつ高いトレーニング効果が期待できる。まさにコスパ最強のメニューと言えます。
しかし、この「中強度」の線引きを曖昧にしていませんか?感覚だけで走っていると、いつの間にか高強度になってしまい、怪我や過疲労のリスクを招くこともあります。
今回は、私が日々の練習で意識している「中強度走の適正ペースと管理術」、そしてそれを支える「指標」についてお伝えします。
1. 中強度の適正ペース:10秒の幅を死守する
私の場合、フルマラソンのレースペース(現状達成可能なペース)を基準に設定しています。
- 基準: レースペース +20秒〜30秒
- 具体例: レースペースが4分05秒/kmなら、4分25秒〜4分35秒/km
ここでのポイントは、「幅を狭く捉えること」です。Eペースのように上限と下限が広いわけではありません。この10秒の幅を超えて速くなると、途端に身体にかかる負荷の質が変わってしまいます。
身体の「声」を聴く呼吸の感覚
中強度走は最低15kmを目安に行っていますが、ペースと同時に大切なのが「呼吸の感覚」です。
中強度での呼吸は、「口呼吸ではあるけれど、自分で口呼吸をしている感覚(ストレス)がほとんどない状態」が理想です。
ハァハァと息が荒くなる一歩手前、自然と空気が入ってくる絶妙なラインを意識してください。
最初の1kmはウォーミングアップを兼ねてその日の調子を測り、3km地点までにこの「呼吸感」と「ペース」がピタッとハマる位置を探ります。
身体が動くとつい4分15秒程度まで上げたくなりますが、そこはグッと堪える。「気持ち良いから」とペースを上げ続けて高強度に転じるのは厳禁です。それは中強度ではなく「中途半端な高強度」となり、ただ疲労を蓄積させるだけの結果になります。
もし、そのペースを維持するのがきつい、あるいは呼吸を意識せざるを得ないと感じるなら、迷わず低強度(ジョグ)まで落としましょう。疲労を抜き、翌日にしっかり中強度をこなす方が、遥かに高いトレーニング効率を生みます。
2. 正確な心拍数管理:アームバンドの必要性
中強度は最大心拍数の75%〜85%(私の感覚では80%〜85%)が目安になりますが、ここで極めて重要になるのが「心拍データの正確性」です。
中強度走は、ジョグほど設定の幅が広くありません。わずか数拍のズレが、練習の質を左右します。しかし、一般的なスマートウォッチの手首計測では、走っている最中の振動などで数値が乱れたり、実際の心拍数より高く(あるいは低く)表示されてしまう「ゴースト・ペース」が頻繁に発生します。これでは、シビアな中強度管理はできません。
だからこそ、私は「カロス(COROS)のアームバンド型心拍センサー」を導入して正確な心拍数をトラッキングしています。
手首よりも血管が太く筋肉の動きが少ない上腕(または前腕)で計測することで、胸ベルト並みの高精度なデータをノイズなしで取得できます。中強度走を「狙った通りの強度」で確実にこなすためには、こうした外付け心拍センサーの導入は必要不可欠だと感じています。

3. 「心理的ハードル」の低さが継続を生む
私たちが市民ランナーである以上、高強度のポイント練習には常にストレスが伴います。
「走れるだろうか」という不安を抱えたまま高強度に挑むのは、精神的にもタフさが求められます。
その点、中強度走は心理的なハードルが極めて低いのが魅力です。「無理に上げる」のではなく「自然と身体がそのペースに収まる」という感覚。これが、私が中強度走を失敗しない理由です。

まとめ:夏こそ「中強度」で土台を築く
「マラソンは点ではなく線で考える」。
高強度トレーニングが限界突破に不可欠なのは事実です。しかし、忙しい私たちが強くなるためには、「確実性の高いトレーニング」を積み上げる線の考え方こそが正解ではないでしょうか。
特に7月・8月のような酷暑期は、高強度練習が難しい時期です。だからこそ、今こそ中強度走を軸に据えるチャンスです。
正確なギアで心拍を管理し、呼吸の感覚に耳を澄ませながら、疲労を溜めずに着実に走力を積み上げる。この夏、一緒に強固な土台を作っていきましょう。
