「雨なのに、なんで走るんだろう?」
きっと多くの方がそう思われるかもしれません。風邪をひきそう、わざわざ濡れてまで走らなくてもいいのでは、と感じるのは、ごく自然な感覚だと思います。
実際、晩秋から春先にかけての低温期は、体温が奪われすぎて低体温症のリスクもあるため、無理して雨の中を走ることはおすすめできません。
ただ、これから気温が上がってくるこの季節に関しては、少し話が変わってきます。
雨の日のランニングは、むしろ積極的に取り入れてほしい練習のひとつです。
今回は、私が雨の日ランニングをすすめる理由を、実際の体験を交えながらお伝えしていきます。
「雨=貸切」という、逆転の発想
私の家から3キロほど離れた場所に、1周約600メートルのコースが設けられた公園があります。整備された周回コースがあり、練習にはもってこいの場所です。
ところが、天気のいい日や休日になると、この公園は多くの人で賑わいます。
犬の長いリードをゆったり広げながら散歩する方、4〜5人でのんびり横並びに歩くグループ、のどかな公園の光景そのものなのですが、走る側にとっては正直、少し走りにくさを感じることも。
ジグザグによけながら走ったり、急にペースを落としたり。もちろん公共の場所ですから、マナーを守ることは大前提です。それでも、インターバル走のような集中が必要な練習になると、人の多さがじわじわとストレスになってくるのは否めません。
ところが、雨が降ると世界が一変します。
公園から人の姿がほとんど消え、広々としたコースが静かに広がる。まるで自分専用のトラックが突然手に入ったような、不思議な解放感があります。
コース自体もアスファルトではなく、適度に柔らかい地面。着地のたびに足への衝撃が和らぎ、安心してポイント練習に集中できます。
雨音だけが聞こえる公園で、ひとり黙々とペース走をこなしていると、「ああ、今日は自分のための練習日だな」という充実感がじわりと湧いてくるのです。
恥ずかしさゼロ。思いきり追い込める聖域
少し個人的な話をさせてください。
41歳という「いい歳をしたおっさん」が、公共の場で顔を真っ赤にしながら「ゼーハー」と激しい呼吸を響かせて走る姿。少し引いた目で見ると、なかなかシュールな光景であることは、自分でもよくわかっています。
「大丈夫ですか?」と声をかけられそうな気配を感じながら走っていると、どうしても呼吸を抑えてしまったり、無意識にペースを緩めてしまったりすることがあります。
高強度のインターバル走は、それなりに見た目もハードです。ふらふらしながら折り返して、ゼーハー言いながらまた走り出す。冷静に考えると、知らない人からすればただの「限界を超えたおじさん」です。
でも、雨の日は違います。
誰もいない。視線もない。自意識も消える。
思いきり口を開けて呼吸し、限界まで追い込んでも、誰に気兼ねする必要もない。あの「静かな解放感」は、晴れの日の練習では決して得られないものです。
雨の日の公園は、シリアスランナーにとって唯一の聖域、と言っても大げさではないと思っています。
身体が動きやすい。雨の日は高強度練習向き
雨の日ランニングには、環境的なメリットもあります。
雨が降ると気温が下がり、湿度は上がりますが、走り出しの体感温度は晴れの日より涼しく感じられます。身体が熱を持ちにくいぶん、オーバーヒートしにくく、インターバル走のような高強度トレーニングに向いているのです。
また、人が少なく静かな環境は、集中力の持続にも貢献します。余計な情報が入ってこないぶん、自分のペースと呼吸だけに意識を向けやすい。気がつけば、いつもより質の高い練習ができていた、ということが雨の日には多い気がします。

雨でも走った自分を、ちゃんと褒めてあげてほしい
雨の日に外へ出るまでの「玄関の一歩」は、正直けっこう重いです。
雨音を聞きながらウェアに着替えて、「やっぱり今日はいいかな」という囁きを振り払って、ドアを開ける。その行動自体が、すでに練習の一部だと思っています。
走り終えて帰ってきたとき、びしょ濡れになりながらも達成感に包まれる感覚は格別です。「今日の自分、なかなかやるな」と、素直にそう思えます。
そして、雨の中ですれ違う別のランナーさんと目が合ったとき、言葉は交わさないけれど、なんとなく「仲間だ」という気持ちが芽生える瞬間があります。あの無言の連帯感、私だけでしょうか?
まとめ:晴れの日にはない「静かな自分」と出会える
もしあなたが今日、「雨だし、やめておこうかな」と迷っているなら、一度だけ外に飛び出してみてください。
貸し切りのコースが待っています。誰にも邪魔されない時間が待っています。そして、雨の中でもシューズを履いた自分自身が、そこにいます。
晴れの日には決して出会えない「静かな自分」と、「自由なコース」。それが雨の日ランニングの、いちばんの醍醐味だと私は思っています。
これからも「ゼーハー」と思いきり息を吐きながら、雨ランニングを楽しんでいきます。雨の日に走るたびに、また少しだけ強くなれた気がする。そのちいさな積み重ねが、いつかサブ3への道を切り開いてくれると信じています。

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